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放課後、俺は校舎のあまり人目につかない場所にいた。
今日の授業は全て終わった。そして、これまでに無いほど緊張する。
俺、土御門卓己は今日愛理に告白する…つもりだ。そのことを考えただけで苦しくなる。息が詰まる。
人生初めての告白。成功するか失敗するかはわからないけど、やるしかない。
何で今日なのかと言うと、いろいろと理由がある。いや、いろいろでもないか。一つだな。
結論から言うと、焦っているのだ。
俺は愛理の事が好きだ。態度から考えれば愛理も俺の事を好き、なんだと思う。あまり自信はない。
だけど、最近愛理はよく男子にモテる。
天然物のツンデレだし、見た目は、ずっと一緒にいるからあまりわからないけど、かわいいと思う。男子に人気が出てもおかしくない。
だからって、最近告白され過ぎだろ…。
男「好きです!付き合ってください」
愛「…ゴメン。それは出来ない」
まぁ、俺は所謂のぞき見をしている訳で。人目につかない場所でさらに物陰に隠れてる訳で。
俺が焦る理由。それは愛理が最近男子に告白されてるから、先を越されるような気がするから。
さっきの告白した男子はさっさと去って行き、愛理は一人でぽつんと立っている。
安心して俺は物陰から出た。
卓「えらくあっさりと断るんだな」
愛「っ!?…なんだ、卓己君か。びっくりさせないでよ」
卓「最近ホントに多いな。何回目?」
愛「…これで8人目かな。断るのって、意外と辛いわね…」
本当に辛そうな顔で溜め息をつく。俺としては断ってくれて嬉しいんだけど、愛理はどう思っているんだろう。
その辛そうな顔は、ともすればうんざりした様にも見える。いや、俺ビジョンだけどさ。
卓「告白される事自体はどう思ってるんだ?」
愛「…どうしてそんなこと聞くのよ」
卓「ちょっと気になっただけだよ。言いたくないなら聞かない」
正直結構気になる。だけど、愛理の口調が恐かったからおとなしく引き下がる。
なんかすげぇご立腹。俺こんな時に告白して大丈夫かな…。
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