燕のチッチのドタバタ騒動記

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本当に、ずっと一緒に居られると思っていました。 順調だと思っていた。 飛べなくても、飛ぶ姿が痛々しくもあり、嬉しかった。 餌をねだる姿も、待ちきれずに手に飛び乗ってくるのが嬉しかった。 朝、寝床からはい出してくるのを待っていました。箱の上で、翼を広げバサバサとストレッチして"チィ"とみんなを起こすのは、もう恒例だったね。 夕食どきは、必ず旦那の肩の上に乗って、ウトウトしていたね。それが当たり前の光景だったね。 出かける時は、車の助手席の肩が指定席だった。 昼間、誰もいない時に、何やらクチュクチュ鳴いてたのは、何を話してたのかな? 貴方がくれた思い出はたくさんありすぎて… 二、三日まえから、翼に頭を突っ込んで昼間でも寝ていたね。ちょうど季節は夏から秋へ、朝晩の寒暖の差が大きくなって来た頃だった。 体調を崩したのに気づいた時には、もう手遅れだった。 どんなに、暖めても、餌をあげても、栄養剤入りの水を飲ませても、だんだん弱ってくる貴方を元気にさせてあげることは出来なかった。 ごめんね… うちに来たばっかりに、素人が野鳥の燕を育てるなんて、無理だったんだよね。 貴方の黄色い嘴が、少しずつ、色を変えて、天敵に襲われて出来たハゲも、新しい羽毛が生えて綺麗にツートーンカラーになってたのにね。 一晩もつかわからなかった。 朝、寝床の蓋を開けるのが怖かった。 恐る恐る開けると、まだ目を開けていたね。 旦那が両手でくるんで持つチッチにスポイトで、水を飲ませた。それを飲み込んで、みんなが喜んだ瞬間に呼吸が止まった。 どんなに呼んでも、もう二度と目を開けてくれることは無かったね。 貴方の寝床をそのまま棺にかえて、残ったミールワームを入れました。 一日おいて、旦那が埋葬した。家の中に戻ってきて、タバコに火をつけ、泣き出した旦那の背中を叩いた。 チッチ、ありがとう この二ヶ月、楽しかったよ 本当に助けてあげられなくて、力不足でごめんね 虹の橋で待っててくれたら、必ず探しにいくからね 待っててくれるよね 2010年9月7日6時50分 チッチ 永眠image=370736466.jpg
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