燕のチッチのドタバタ騒動記

2/13
34人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
海辺の小さな町。 外回り用のトラックで、細い路地にゆっくりと侵入した。 「ん?」 道のど真ん中に、黒い小さなものが落ちていた。 トラックを止め降りる。 「葉っぱ?カエル?…なんで燕?💧」 確かに時期的にあちこちに巣があり、雛鳥が巣立ちの準備で飛び回っていた。 両方の翼を広げたまま、地べたに這いつくばってる姿は、鳥には見えなかった。 「なんで、墜ちてんの?💧」 そのまま見捨てることも気が引けて、捕まえようと手を伸ばすと、警戒心を煽ったらしく、必死に逃げ出した。 バタバタ💦バタバタ💦 草むらに飛び込んでしまい、そのまま様子を見ていると、また飛び出してきた。 「こらっ、待てっ💦」 なかなか捕まえられず、考える。仕事中に網など持っているわけもなく、一旦トラックに戻り、網の代わりを物色する。 汚れた雑巾があった。仕事柄、油汚れを拭き取ったりして黒くなってる部分もあったが、乾燥していたから使うことにした。他に無いから仕方ない。 「ほれっ」 パサッと上から被せると、ちょうどクチバシが見える程度に覆うことが出来た。 「お~し」 ソォ~と、雑巾ごと掴みあげ、トラックの助手席に載せた。 「て、どうすんだよ💧」 捕まえたのはいいが、ペットというものに縁が無かったせいで、世話の仕方がさっぱりわからない。 携帯を取り出し、自宅に電話をかける。応答は留守電。仕方なく携帯にかけると出た。 「燕、拾った」 〈はぁっ?なんで?〉 「墜ちてた」 〈用事あるんだけど💧〉 「何とかしてくれ💦」 〈戻るから、わかる場所にいて💧〉 「んじゃ、バイパスの喫茶店の前にいるから」 〈わかった〉 電話を切り、トラックを移動させた。 喫茶店の前で待つこと数分、すごい勢いでカロゴンが走ってきて、目の前に止まった。 「なんだかなぁ~出掛けられなくなったじゃん」 「わりぃ、何とかしてくれ」 と、雑巾にくるんだままの燕を見せる。 「なんか、車に包めるもの無い?」 「ん~ちょっと待って」 運転席のドアを開け、何やら白い布を持ってきた。 ソォ~と、それで包み直した。 「じゃ、仕事に戻るから」 「あ"何?面倒見ろって?」 「お前の方がわかってるだろ」 「ん~💧否定はしないけど、死んでも知らんよ」 と、口では言っても、前科持ちの彼女に任せておけば、自分がやるより生き延びさせられると思っていた。image=366428919.jpg
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!