燕のチッチのドタバタ騒動記

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「どうしてる?」 「うん、生きてるよ」 仕事から帰ってきて、真っ先に燕を気にする。 「俺もいろいろ調べて見たんだけどさ」 とレジ袋に入れたものを取り出す。 「釣り餌?」 「見たらあったからさ」 「野鳥用じゃないじゃん。つか、冷蔵庫の中がキモいことになってるんですけど💧」 ミールワームに加えて、ブドウ虫、ミミズ、普通に気持ち悪い💧 携帯サイトの仲間たちは、釣り餌に難色を示した。 「気持ちはわかるんだけど、食べさせて死なれたら、へこむの自分じゃん?」 「う~ん、まぁな💧」 拾った手前、自分に責任があるとは思っているからこその行動が、裏目に出ることもある。 やはり慎重にかからねば、せっかく繋いだ命を儚くしてしまう。 「結局、大人になるまでの間に八割が死ぬらしいよ。たぶん、コイツもその一羽だったはず。んで、うまく育てられれば15年、生きるらしいよ」 「はいっ?15年!?…すいません、前科あるんですけど💧」 「だよな~もこな、15歳だよな」 と笑う。 今は実家でのんびり暮らす老猫もこな…捨て猫だった。それを赤ちゃんから育てた経歴があったりする。 「頼むな」 「猫と燕じゃ違うじゃん💧」 まだまだ朝晩の気温差の激しいこの時期、朝方の低い気温にどう対処するか、夫婦で悩む。 「とりあえず、湯タンポ入れとく」 「この段ボールに入れたら、暖かくなるんじゃね?」 「冷気を入れないことなんだよ…今、最低気温ってどんぐらいだったっけ?」 「天気予報見ればわかる」 などなど、自分らの子供のこともほっといて話し合う。 「とりあえず、一晩持てば見通しつくから」 「朝に死んでたら、やだな💧」 「言うなっ、一番考えたくない💧つか、拾った人が責任持ちなさいよ💧」 「俺は昼間、世話できないもん」 「添い寝すれば?」 「潰す自信あるけど、いい?」 「だめ」 そんな会話を交わしながら、二階の寝室に虫かごに入れた燕を運び、不安な夜を迎えた。image=366430058.jpg
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