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「お盆来たら、ちょうど一ヶ月なんだよな」
「あ、そうだったっけ」
すっかり、家族の一員になってしまったチッチ。
拾ってまだひと月とは思えないほど馴染んでしまっていた。
しかし、お盆を過ぎてすぐに、恐れていた事態が起きた。
青海苔ミールワームしか食べようとしないため、栄養が偏ってしまったのだ。
顎をあげ、天井を見上げて、後ろにずり下がり落ちていく。
身体のバランスが保てずにひっくり返ってバタバタする。
「チッチ💦」
対処法がわからず、サイトの仲間に助言を貰う。
翌日は子供の都合で市内に出る必要があった。
「用事が済んだら、獣医だ」
と決め、車を走らせた。
食欲が落ちる前になんとかしたかった。
バランスは保てないものの、餌を見ればパクつく。
子供の用事を済ませ、以前、もこなが世話になった獣医に走った。
しかし、手術中で医者本人は会えず、受け付けには野鳥だからと迷惑がられ、しまいには他にあたってくれと、電話番号を教えられた。
すがる思いで、電話をかけたが管轄が違うと、他へ回され、そこへかけ直すと、やっと話がわかる人と話せたが、やっぱり獣医の情報は得られなかった。
更に、野鳥を保護しなければならないから、チッチを渡せと言ってきた。
「あのっ、昨日今日、保護したわけじゃなくて、すでに一ヶ月暮らしてて、すでに家族なんですけど、渡さないとダメですか?鳥獣保護法なら知ってます、必要なら書類でもなんでも書きます、だから、チッチを家に置かせてくださいっ」
悔しくて、涙ながらに訴えた。
〈あ、そうなの。一ヶ月も世話してたんなら、飼い方わかるってことだね。じゃあ、そのまま保護でいいです。書類は…今日担当が休んでるから、明日でも連絡させるんで、連絡先教えてください〉
拍子抜けするほど、あっさりと仮の許可がおりた。
帰り道、ビタミン剤を購入し、水に溶かしてミールワームに塗りつけて食べさせた。
夜までに少しずつ症状が改善されてきた。
「大丈夫そうじゃね」
「朝までもてばね💧」
そんな会話をしながら、不安な一夜を過ごした。
翌朝
バサバサ~チィ
「うぁっ💦チッチ💦どこに乗っかってんの💦」
目覚めはチッチの急襲だった💧![image=369682555.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/369682555.jpg?width=800&format=jpg)
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