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他人が聴いている自らの生の声を聴くことは、
録音機器をもってしても確実に不可能であるのと同じように。
鏡を通した自分はあくまで虚像でしかないし、
スピーカーから排出される自分の声は、
頭蓋骨の振動によって聞こえる自らが認識している声とも、
生の空気の振動で伝わる声とも異なっているのは――今更、言うまでもないだろう。
なんてことを考え始めると、『自分』という存在の不確かさに目眩さえ起こしかねない、
なんとも不思議な気分に僕はなってしまうのだけれど、
その違和感とも不快感ともとれるような軽いトリップは、ひとまず置いておくとして。
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