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「んぅ……」
びくりと身を竦ませ、装置を服の内側に隠す。寝息が聞こえていた方から、小さな呻きが聞こえた。目を覚ますのかも知れない。
隠れるべき物陰を探してみるが、それより早く部屋が明るくなった。突然、天井のあたりに光球が現れたのだ。
「ん……おはよ……」
いきなりの事に身構えも出来ず、声の主の方を向く。
果たしてそれは少女だった。それも、透き通るような肌にゆるく波打つ金の髪、円らな碧い瞳を縁取る扇のような長い睫毛、小作りの鼻と果実のような唇という、息を呑むほどの美少女。フリルがあしらわれた白い衣装を身にまとった彼女が、柔らかそうな広い寝台から身を起こし、目を擦っていた。握れば折れそうに細い手指。整いすぎたそれらは、不思議に生気の薄いその少女の印象と相まって、とてもよくできた自動人形のような雰囲気を醸し出していた。
少女の硝子球めいた目が面食らう俺を映す。
意外な事に、侵入者である俺を迎えた彼女の表情は、怒りでも恐れでも敵意でもなく、純粋な驚きと微笑みだった。
「あら珍しい、お客様なのね?ようこそ、わたしの子供部屋へ」
花が開くように愛らしい声で、少女はそう言った。
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