歓待

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俺は『お茶の時間』の最中、部屋の隅にドアがある事に気がついた。 そのドアは異質だった。 部屋の中は全体的に淡く優しいパステルカラーで整えられており、全ての家具、道具、その配置が少女の為に小さく低く作られているのに対し、そのドアは暗い青色で塗られており、大きさも俺がくぐるのに遜色なさそうだった。 恐らくあそこから出られるのだろう。出た所がどうなっているかは分からないが、ここにいるのは生産的でない気がした。 お茶やお菓子は片づけないまま、少女はイスから降りた。 「ねえ『お客様』?せっかくいらして下さったんだから、一緒に遊びましょう?」 「悪いけれど、俺は帰らなくちゃいけないんだ。お茶とお菓子、ごちそうさまでした」 そう言って俺も席を立って会釈をした。 「あら、そうなの?でも……」  少女が口籠る。ドアに歩み寄り、ドアノブに手をかけ、ひねる。 開かない。 鍵がかかっているとかそういう問題ではなくて、ドアノブがまず回らない。 別にドアノブが飾りで、元から回らない仕様だという訳でもないようだ。 強い力で止められているような手ごたえがあった。 くすくす、という少女の笑い声が、背中からかかった。悪意なく少女は笑顔を浮かべて言う。 「どうやってここから出るの?」
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