エピソード■

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かつてミラービル等が建ち並んでいた都市部は1日にして姿を変えた 建物は崩壊しているもの、半壊しているもの、それらの瓦礫や破壊された車などが道には散乱していた いや……物だけではない。 かつて人だった物の残骸や破壊された銃器 失った右手はあの残骸のどこかに紛れているのではないだろうか? 半壊した建物からは周辺の状況がよく確認できた 左耳に付けている通信機からは現状と作戦続行の合図が絶えなく伝わってくる もはや動く気力さえ残っていない 作戦は失敗したのだ ただ目の前に降り注ぐ大粒の雪を見ることしかできなかった いつしか体の痛みは寒さで麻痺してきていた 「ガシャン」 抱えていたスナイパーライフルを手離し残った左手で腰に装備しているハンドガンを取り出す 特別に加工されたハンドガンにはグリップ部分に「Ria」と装飾されている ハンドガンを抱きしめうずくまった 「……リア…助けてよ…」 彼女が流した涙は小さな氷の粒となり床に落ち微かに音を立てて割れた
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