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私は、あの新人訓練を受けてないプレコを負かしたかった。
深く深呼吸をしてドアを開けた。何かが当たった。
「う~」
間抜けな声。プレコが鼻を押さえて蹲っていた。
鼻血まで出している。
意外な状況に私も間抜けな顔になってたと思う。
それでも地面に落ちてるカギ開けの道具を見て状況を理解した。
プレコは逃げようと私に背中を向けた。
逃がす訳には行かない。
玄関のカサを抜くと猫足立ちで下段に構え地面を蹴って逃げるプレコの足首にカサの持ち手を引っ掛け足払いをした。
プレコは受身を取れずに顔面を地面に叩きつけた。
笑いがこみ上げて来るのを耐えるのが大変だった。
「私の勝ちね」
そう言ったものの油断するつもりはない。
顔面を地面に打ち付けた痛みにのた打ち回ってるとは言えプレコは暗殺者。
本気で捕まえにかからないといけない。例え私が逮捕術を習ってないとしても。
私が習った格闘方法は相手を無傷で捕まえる物ではなく相手を倒す物だった。だから強引な方法しか出来ない。
立ち上がろうとしてるプレコのヒザの裏をサイドックで踏みつけた。
ついで指をつかんで全力でねじりあげ手錠をかける。
「痛い!痛いですよ!ここまで、する事ないじゃないですか!」
プレコが大声を上げた。これは、いけない。
口を塞いだ。
「手錠を掛けるから両手を後ろで組んで」
プレコは不服そうに手錠を掛けられた。
そして私はプレコを家の中に引きづり込んだ。
ちなみに私がプレコに仕掛けた攻撃は、どれも素人には耐えられない物だった。
予想では顔面の重大な打撲、ヒザの脱臼、指の骨折。
暗殺者としての訓練を受けたプレコだからこそ私は遠慮なく攻撃した。
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