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手錠を外す為にプレコの後ろに回った。
「釈放よ」
新人訓練プログラムを受けてない埋め合わせをさせるチャンスが出来た。そう思う事にした。
「プラティさん」
「何?」
「抱っこ」
あまりにも予想外の言葉に固まってしまった。
「…え?」
「だって昨日はロクに会ってもないです」
溜め息をつきたくなったけれども我慢する。
手錠を外す。後ろから手を回した。
プレコは一瞬、嬉しそうな顔になったけれども私が顔をつねると痛みもあって怒りだした。
「痛いです。酷いじゃないですか」
おまけに泣きそうになっている。さすがに可哀想だと思って事情を説明した。
「プレコが新人訓練プログラムを受けてないって聞いて、この演習中は辛く当たろうと思ったのよ」
「マフィアの訓練だってキツいんですよ」
そう反論したもののプレコは事情が分かり安心したみたい。
「そうだけど…例えば?」
「訓練場は訓練生が先に来て掃除をしたり」
「それは軍でも一緒よ」
特にトイレ掃除が辛かった。
軍には無い辛さを聞いてみた。
「上の人の服装は、どんなに似合ってなくても褒めなきゃいけなかったり、興味もないブランドの事を勉強したり、飲み会の時は吐いても飲まないといけないし、延々と抗争相手の悪口を聞いたり、車の窓に指紋を付けても怒られるし、毎日セクハラされるし…」
色々と辛い事はあったみたいだけれども
「全部、訓練とは関係ないわ」
とにかくプレコは釈放、訓練は続けられる事になった。
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