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面倒な演習が始まってしまった。
何か得る物があるハズだと自分に言い聞かせて無理矢理やる気を出した。
上司の自宅へ行った。プレコは別行動。この場所も知らせてある。
ここは住宅街にある二階建ての普通の一軒家だった。
「あれ?一人暮らしなんですか?」
言った直後に失礼な質問だと気付いた。
「奥さんに逃げられたんだ。俺が色んな事が適当だとか言って」
上司は頭を掻きながら答えた。
家の中は散らかっていた。カップ麺やコンビニ弁当の空き容器が散らばっていて異臭を放っていた。
逃げられて当然だと思った。それに自分の妻を「奥さん」と呼ぶあたり言葉も適当みたい。
私はソファーの上のゴミを足でどけて(手では触りたくない)、座って良いと言われてないけれども座った。
この上司には礼節は保てない。
私の他にボディーガード役が二名。
この場に合わない格好だった。
一人は筋肉隆々の腕を見せ付けるように袖なしの戦闘服に防弾チョッキ、肩には私物と思われるサバイバルナイフ、それにM60機関銃を担いでいた。
もう一人も似たような格好だった。
メガネを掛けてたからインテリに見えたけれども、そうでもなさそう。 胸には平和を願うバッチにヘルメットには敵兵を挑発する言葉。そして何故か首からカメラを下げていた。銃はM16A1ライフル。
まるでボディーガードではなく戦場を駆け回る兵士の様な格好だった。
上司は本名を明かせない為、コードネームで呼ぶ事になった。
コードネームは「ファイヤーイーグル」
「なんですか?そのコードは?」
正直、口に出したくない。
「えー?格好良いじゃない」
私はやる気を無くしたけれども上司の前でそれを表に出す訳には行かない。
上司は更に私とボディーガード二人のコードも決めようとした。
「本名で良いです!」
結局、私は本名でメガネを掛けてない方はA、メガネの方はBと呼ぶ事になった。
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