水の街

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狭い水路を小さな船で進んでいく。歌声が反響し、空へと登っていく。日差しも、人も暖かい。ここなら、見つかるかもしれないとグスタは思った。 「兄さん、剣士かい?」 船頭がたずねてきた。 「違う。」 そして無表情で彼は短く答えた。 「じゃあ、なんで剣なんか刺してんだよ。」 「護身用。」 真か嘘か、とにかく自分のことを話したくないらしい。答えを聞いた船頭は諦めたように船を漕ぐ事に専念した。
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