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ガコン、と揺れて船は岸についた。
「ここでいいね?兄さん。」
にこやかに船頭がたずねた。
「ああ、ありがとう。」
そう言ってグスタは船頭に料金を手渡した。それを受けとると船頭は
「よい旅を!」
と言って船を漕ぎ出そうとした。しかし、それはグスタの言葉によって遮られた。
「捜している人がいる。黒髪に青い瞳の美しい人だ。なにか知っていることはないか?」
しばらく考えて、船頭は答えた。
「顔は知らねえが、ついこの間、そこの広場に来て芸を見せてる旅芸人一座に、綺麗な踊り子がいるって聞いたぞ。まあ、興味あるなら行ってみな。それじゃ!」
船頭は船を漕ぎ出した。ありがとう、と言ってグスタは広場へと進み出した。
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