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夜。
見上げれば満天の星空で、星の光に照らされた世界は少しだけ明るい。
そんな星明りの下、フリーの傭兵クルノ=ラルシュレイはガラの悪い男達三人と対峙していた。
誰一人通らない様な、寂れた地区の物陰だった。
男達のそばには、まだ十ぐらいの少女が一人。リュックを抱きしめながら、男達を見上げている。
誰がどう見ても、襲われる一歩手前だった。
クルノは背中に背負った槍を取り出す。
昔から使っている短い槍だが、刃はしっかりと砥がれていて、月の光を反射して鈍く輝いている。
単なる追いはぎなら、武器を少し突き付ければ普通はすぐ逃げる。
街中で堂々と武器を持って歩けるのは傭兵か警備隊等の国の組織だけだからだ。これらに共通する事は普段から盗賊や魔物達と戦っていて、強い事。
「今すぐその子を放して消えれば、お前達に危害は加えない。去れ」
クルノの出来る限りで威圧感を出しながら言い放つ。
自分でも違和感を感じた。背伸びしてますよ、みたいな。
それを聞いた相手のリーダー格の男が案の定――笑い出した。
「危害は加えない? お子様が調子に乗ってんじゃねーよ」
やはり、戦わず終わるのは無理そうだった。むしろ馬鹿にされている。17才になったのに、お子様の新米に見られているのかと、思考があさっての方向へそれかける。というか、お子様とは何事だ。
脱線した。
よく考えれば、言い方が少し古臭かったから馬鹿にされたのかもしれない。
なんてクルノが思ってる間に、三人の男達は懐からナイフを取り出していた。
また脱線した思考を戻す。
「俺らに口出ししたのがだったのが間違いだったな。この赤いバンダナが見えてねぇのか小僧? どっちにしろここで死ねや」
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