12人が本棚に入れています
本棚に追加
「同時に、正嗣が亡くなって、もう10年になるわけか…………」
「………………はい」
美姫は、きゅっ、と両手を握りしめながら頷く
「……………美姫よ」
「…………はい?」
名を呼ばれ、ゆっくり視線を大伯父様に向ける
「……………お前のせいではないよ」
「……………はい」
そう言われて、美姫は苦笑いをする
父が亡くなった時、美姫は自分の侵した過ちに気付いて、酷く取り乱した
その時、美姫を何度も慰めてくれたのは、大伯父様だった
何度も何度も、背中を撫でて落ち着かせてくれたのを思い出す
「いくらお前に“力”があるからと言って、正嗣がその力に倒れたわけではないのだ
たまたま偶然が重なっただけなのだから、そう抱え込むな」
大伯父様は、穏やかな声色でそう話す
「…………ありがとうございます」
最初のコメントを投稿しよう!