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モールまでは徒歩で10分ほど…
その間、可奈と快斗は何気ない話しで盛り上がっていた。
この日が2人の初デートなんて誰も思わない程、自然な空間を作っていた。
もちろん、それはモールの中でも同じだった。
「快斗さん!これ見て下さい!前からかわいいと思ってて。でも私には似合わない様な気がして…どう思いますか?」
「ん~そうだなぁ。今の俺が思う可奈ちゃんのイメージとは違うかな。」
冒険心でそそられている物は…
黒いハンチング帽。
やっぱり…とガッカリしていると、
「似合わない訳じゃないんだけど、可奈ちゃんは黒より白!白いハンチングの方が絶対に似合う!」
「!!!」
あまりにもビックリして言葉が出なかった。
「可奈ちゃん!どうかした?目が真ん丸だけど…」
「はっ…いっ…いやっ…その…」
「俺の言葉に意表つかれたんだ。」
彼はニヤ~っと笑いながら
「何でだろう…可奈ちゃんの考えてる事がわかって仕方ない!」
そう言いながらニヤニヤしてる彼に一言!
「単純て思ってる!」
少しふくれてみせた。
彼は相変わらずニヤニヤしながら
「単純は決して悪い事じゃないよ!俺にとってはねぇ~!」
「えぇ~???それってどういう意味ですかぁ~?」
「そのまんまの意味だよ~!」
「いぃぃぃぃ~!何かバカにしてるっぽい~」
また少しふくれて下を向いてイジケてみせた。
と言うかイジケた…
相変わらず彼はニヤニヤしてる。
しばらくその状態が続いた後で、私の顔を覗き込んで優しく微笑みながら
「だって、顔色を伺ったり、今何を考えてるのかが理解出来なかったり…そんな人と一緒にいて、可奈ちゃんは楽しい?俺はイヤだな。常に気を張ってないといけないなんて…可奈ちゃんみたく手に取る様にわかる人の方が絶対にいいから。」
私は嬉しさと恥ずかしさで赤面している自分の顔を上げる事が出来なかった。
すると、彼は私の気持ちをいち早く察知し、頭を優しく撫でてくれた。そして
「さぁ~可奈ちゃん。次は何を見る?」
私は満面の笑みで
「雑貨が見たい!」
確かに彼の言う通り、私は単純なのかも知れない。
けど彼の前なら単純な私。
一番素直な私でいてもいいんだ!って心の底から思えた。
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