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毎日、勉強している成果は頻繁に行われるテストに結果として表れていた。先生も
「これなら県国立大学も大丈夫!」
と感心した。
そして、快斗は少しずつやりたい事が見え始めていた。
バイトの日、奈美に声を掛けた。
奈美は手を休めず聞いていた。
「俺、県国立大学を目指すよ。そこで鋳物関係の勉強して、大手の工場に就職して色々開発を手掛けたいんだ。やっと見付けたよ、やりたい事。」
奈美は快斗をチラリと見たが手元に視線を戻し
「よかったですね。目的が見付かって。日吉さんも、県国立大学目指すって…どこの高校なんですか?」
「俺?知らなかったっけ?」
無言で頷く奈美に
「大成高校だよ!」
奈美の手が止まり、この人が大成高校!?と言わんばかりの顔で
「日吉さん、大成高校だったんですか~!」
奈美の感情を出している姿を初めて見た!
「えっ…?何?意外だった?」
ハッと我に返りまた手を動かしながら
「スミマセン…こんな反応、失礼ですよね…けど、本当ビックリしちゃって。でも、今の時期にバイトなんかしててもいいんですか!?」
「いいんだ~俺は。缶詰状態で勉強した方が効率悪いんだ。だから息抜きがてらのバイト!」
「凄いですね…羨ましいです…私なんて今から不安で一杯なのに。」
「奈美ちゃんは、まだまだ時間があるから心配なんてしなくていいよ。」
どさくさに紛れて"奈美ちゃん"なんて言っちゃったよ~!
しかし奈美は全く気にする気配はなく
「心配です…とても…」
「勉強ってさ、要領だと思う。根詰めてやると、頭に余裕がなくなるから、少しくらい気晴らししながらやるくらいでいいと思うな。」
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