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「……で、つまり最低でも俺を含めて、あと9人は必要なんだな?」
授業後、東は職員室に行ってきた。
野球部を作りたいと、担任に話をすると、担任はA4サイズの紙を取り出し、それを東に手渡してきた。
紙の表と裏を交互に見るが、何も書かれていない。
東が訝しげに紙を見ていると、担任が説明をし始めた。
「その紙に、お前を入れて10人、クラスと名前を書いて提出しろ。
あ、勝手に人の名前書くなよ?
名前は本人の直筆で持ってこい。」
……そういうわけで、現在に到っている。
東はどうしたものかと、白紙の紙を目の前でヒラヒラさせた。
校内にはもう、部活をやっている生徒以外はいない…。
(勧誘するなら明日だろうな…。)
そんな事を考えながら校門を抜けると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「よぉ、終わったのか?」
「んぁ?あ…、倉橋。」
どうやら、待っていてくれたらしい。
倉橋は足下にあるカバンを手に取り、「どうだった?」と聞いてきた。
その質問に、東は頭をボリボリ掻きながら答える。
「この紙に、クラスと名前を書いて出せとさ。」
東は倉橋の目の前で、紙をヒラヒラさせた。
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