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「これに…ねぇ…。」
倉橋の目は、完全に怪しい物を見る目になっている。
しばらく見ていると、東はヒラヒラさせるのを止め、ブレザーの胸ポケットに入っているシャープペンを取り、白紙の紙に走らせた。
書いたのは、自分のクラスと名前…。
書き終わると、東は紙とシャープペンを倉橋に突き付け、名前を書くよう促した。
「素人の君でも、バットを振るだけならさせてやる!
さあ、君も名前を…!」
勧誘にしては、上から目線もいいとこのセリフだが、倉橋はシャープペンと紙を受け取り、クラスと名前を書く事にした。
東に協力してやるのも良いと思ったし、倉橋自身、何か部活をやってみようと思っていた。
どうせやるなら、気の知れた友人とやった方が、精神的にも楽だろうと考えたからだ。
倉橋が書き終わり、残す人数はあと8人…。
東は同じクラスの男子の名前を、片っ端から挙げていった。
「ん…っと…、赤田、雨宮、石橋、井上……あれ?」
しかし、途中で分からなくなってしまうのが東。
まあ、入学して2週間しか経っていない。
男子全員の名前を覚えて無くとも、それは仕方ないだろう。
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