始まりの靴

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そこで少し、会話がとぎれる…。 そして再び、東が口を開いた。 「部活…何が良いと思う?」 その問いに、倉橋は顔をしかめた。 東とは小学生の頃からの付き合いだ。 だから、東が中学の時何をやっていたのかは知っている。 「何が良いって…お前、野球はやんないのかよ? 中学の時は、野球部のレギュラーだったじゃん」 倉橋は起き上がり、後ろに両手をついて東に疑問を投げ掛けた。 中学の時、3年間やってきた野球を高校でやらない理由が、倉橋は無性に気になったからだ。 しかし、その理由は実に簡単なものだった。 「野球部が無い」 その一言で、倉橋も納得する。 無いのなら仕方がない。 「な~ん~か~、ぶ~か~つ~」 東は子供のように足をバタバタさせながら、教室に戻ろうとした倉橋の足にしがみついた。 しがみつかれた倉橋はたまったものではない。 東を降り払おうと、足をブンブンと振ってみた。 しかし東は離れない。 その時、倉橋のクツが脱げ、柵を越えて、中庭の方に落ちていってしまった。
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