プロローグ

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その日は、嵐だった。 暗い闇に一筋の閃光が走る。 その中を一人の男が歩いている。 彼は雨を気にしてはいないようだ。 彼の足は町外れの一軒の家の前で止まった。 コンコン―― 彼はドアをノックした。 ガチャ―― ドアが開いた。 家の中から出てきた男は彼を見るやいなや、ドアを閉めようとした。 が、無駄な徒労だった。 ずぶ濡れの男がナイフで彼の胸を刺そうとした。 ナイフを避けた男は家の中に向かって叫んだ。 “逃げろ” 叫びながら男はずぶ濡れの男に蹴りを与える。 そして、玄関に何故か立て掛けてあった刀をとる。 ずぶ濡れの男はそれを見てニヤリと笑った。 その男の顔の両翼をあしらった刺青が醜く歪んだ。
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