プロローグ

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男は薄れゆく意識の中、二人の我が子を思った。 “すまないな……逃げ延びてくれよ” ずぶ濡れの男は骸となった男を見下ろす。 “後は餓鬼二人――っ!?” ずぶ濡れの男は気付けなかった。 少年と少女が明確な殺意を持って己の父の刀を構えていたこと。 そして、 それが自分の胸を貫いたことを。 雷が鳴り響いた。 新たな鬼の誕生を示すかのように。 二人の鬼は口を開く。 “父さん……” 今は動かぬ父の体にすがり二人の鬼は涙を流した。
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