26人が本棚に入れています
本棚に追加
駅のロータリーのベンチに二人の青年が座っていた。
一人はジーンズにシャツと黒いカーディガン。
そして眼鏡の奥からは紅い瞳が覗いていた。
二人目は正装の上にコートを着ており、柔らかな笑みを浮かべている。
コートの青年が隣の青年に話しかけた。
「遅いですね、皆さん」
眼鏡の青年は荷物のトランクを倒れないように支えながら答える。
「そうですね、肝心の二人も来ていませんし」
「確かに……今日はあの二人の持ち物を作ってもらう予定でしたね」
「ええ、ついでに僕のやつも砲兄さんに点検してもらおうと」
「フフッ……理由はそんなのじゃないでしょう。苦識(クルシキ)君?」
「バレました?夢識(ユメシキ)君」
「君のことです。あの二人に会いたいのでしょう。君曰く『形成』をする為に?」
言葉は返さず、笑みを浮かべる苦識。
夢識は続ける。
「噂をすればなんとやら。来たようですね」
最初のコメントを投稿しよう!