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女は肩に手を置き言った もちろん僕は何の事かわからない
何を訳のわからないことを、と思っても口には出せなかった
女がそれほど真面目な目をしていたからである
何かを確かめようとする目。僕はこれが嫌いだった
人の運命を決め付けるようとする、そんな感情が入り交じり、渦をまき心の中に入り
そして・・・僕を痛め付けるから・・・
女はそんなことお構いなしに質問に答えさせようとする
あまりにもしつこいので 僕は嫌々答えた
「知りませんよ・・・これでいいですか?・・・」
僕の答えに女は満足したかのように手を離した
そしてくるりと背を向けると顔だけ振り向いた
気づかなかったが女の背丈は中学生と変わらず
見た目も子供っぽかった
腰まで伸びた茶色い髪をなびかせ、翡翠色の瞳が真っすぐ僕をとらえる。
女は片目だけパチッと閉じた。その表情は何処か嬉しそうだった
「私は神だから何でもわかるぜ!・・・・この先・・・自分を責めることがあっても・・・・どんな事があっても・・・ 自分を失うな!・・・またな!」
女は居なくなった
いや、消えた
そんな表現しかできないほど女は呆気なかった
「そういえば名前・・・聞いてなかったな」
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