序章

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女が来なくなって半年後、俺はまた別の奇特な女に声を掛けられた。 「本気で絵をやってみる気はないですか?」 口調も違えば身なりも全然違う女。 高級なブランドのスーツを着て、知的な印象を与える計算し尽くされたメイクを施し、縁のない眼鏡をかけた女だった。 少し話をすると、銀座で雇われだが画廊をやっているという。 俺は性懲りもなく、また見知らぬその女について行った。 なるほど、立派な画廊だった。 女は言う。 「あなた才能があると思うの。私の画廊で“売れる絵”を描いてみない?」 そんな事に全く興味のなかった俺は、かぶりを振り、椅子から立ち上がった。 なんだ…焼肉じゃないんだ… ならいらないや… 面倒な事になる前にここから出よう! そう思った時、背中に女の言葉が突き刺さった。
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