序章

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それが…義理の姉になるあの人との始まりだったんだ。 ただ、彼女にはパトロンがいた。 画廊のオーナーである男が、ホステスをしていた女を買い上げた。 買い上げたというのは… 女には多額の借金があって、 「一括で払ってやるから俺の女になれ」 と、男に言われたからだと、女が自ら言っていた。 「男は利用してこそ価値があるの…」 女はペタンコの布団で華奢な身体を投げ出しながら、よくそう言っていた。 女が利用していたはずの男は… いつの間にか、俺の兄貴に変わっていた。
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