序章

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苦手なスーツに袖を通す。 ネクタイが窮屈で、堅苦しくて、とてつもなくブルーな気分だ。 でも本当はスーツが俺を憂鬱にさせているわけではない。 今目の前にいる白いモーニングを着た男。 コイツが俺を苛立たせ、憂鬱にさせ… そして俺からなにもかもを奪っていくんだ。 それでも二年前まではこの男…兄貴を尊敬し、慕っていた。 兄貴は俺とは違って頭が良く、世渡りが上手で、警察のキャリア組で… 腹違いの弟である俺は、いつも兄貴と比べられ、見下され… ますます卑屈になっていった。
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