562人が本棚に入れています
本棚に追加
苦手なスーツに袖を通す。
ネクタイが窮屈で、堅苦しくて、とてつもなくブルーな気分だ。
でも本当はスーツが俺を憂鬱にさせているわけではない。
今目の前にいる白いモーニングを着た男。
コイツが俺を苛立たせ、憂鬱にさせ…
そして俺からなにもかもを奪っていくんだ。
それでも二年前まではこの男…兄貴を尊敬し、慕っていた。
兄貴は俺とは違って頭が良く、世渡りが上手で、警察のキャリア組で…
腹違いの弟である俺は、いつも兄貴と比べられ、見下され…
ますます卑屈になっていった。
最初のコメントを投稿しよう!