第1話『あ、あのさ……わ、私とさ――』

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 俺の名前を知っていたのも間違いなく、事前に仕入れた情報に違いない。  敵の内部事情を探る事は当然、リア充共にとっても大事な事だろう。  さっき、『咲君“も”「あめふり!」好きなの?』的な事を言ってやがったが、あれだってこっちを油断させる為の言葉に過ぎない。  たとえば、その質問に「イエス」と答えた場合……リア子は我が物顔でこう言うだろう。 「へェ~、やっぱ好きなんだァ~こういう『萌え~』な絵が。キモチワルーイ……いつもこういう小説読みながらニヤニヤしてるのぉ? ところでぇ、貴方達みたいなのって、二次元の女の子で○けるってホントーゥ? だったら今、私の目の前で○いて見せてくれるーぅ??ww」  ギャー! ヤバい、そういう展開になったらもう絶対言い返せない!  ニヤけるし、○けるからな! 完全にリア子のペースになるじゃねぇか!  よ、よし。とにかくこの場は何とか切り抜けるしかあるまい……! 「は、ハハッ。何を言ってるのかよく分からない……ですね。おr……ぼ、ボクはこのような小説はまったく好きに在らせられませんが……今日もこの、お、オタク共の娯楽を、や、椰揄(やゆ)しに来ていただけですが?」 「えっ……そ、そう……なの?」  リア子が目をパチクリさせながら驚いていた。
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