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……そういや、愛芽たんといえば――。
リア子の奴、『あめふり!』7巻そのまま持っていきやがったな。
買ったって事なんだろうが……あんにゃろあんなもん買ってどうするってんだ?
……ハッ! まさか俺が『あめふり!』嫌いだってのが嘘だと、既に見抜かれてるんじゃないだろうな!
で、相手的にも敵が好きなものは研究し、粗を探して潰しにかかる的な、そういう作戦か!
くぅぅ、リア子の野郎。
俺は絶対に負けねぇからな!!
だけど愛芽たんを踏絵するようなマネだけは、負けてもしたくないな――もう。
●
「ただいまっ――と」
家に入るや否や、妹の芽衣(めい)と目が合う。
帰ってきたばかりなのか、まだセーラー服姿だった。
黒髪ショートヘアーで、常にやる気なさそーな表情でいる妹。
俺的評価で、顔は中の上ぐらいかね。
――今これだけで、俺の事を羨ましいと思ったやつが何人かいるのかもしれんが。
「……何見てるんすか? 何か用?」
こちらを睨み付けるジト目からは、何もしてないってのに侮蔑しか感じ取れない。
「別に何もねぇよ。たまたま目が合っただけでそんな寂しい事言わないでくれ」
「じゃあ目が合わないようにずっと下見て歩いてればいいんじゃないっすか」
捨て台詞を吐いて、芽衣は二階へ上がっていった。
ほら! 見てくれ兄に対するこの態度! ひどくね!? ひどくね!?
えrgとかラノベに出てくる妹が、どんだけ美化されてるかわかんだろ!?
現実の妹なんてこんなもんだよ! 憎たらしくて仕方ネェ!!
――だけど俺は、そんな妹と一応は仲良くしたいのだ。
何故かって? 妹も非リア充だからだよ。
……待て、誤解を招く前に補足すっけど、別に狙ってるわけじゃない(当たり前)ぞ。
ただ、非リア同士だから仲良くしたい。それだけだ。
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