第1話『あ、あのさ……わ、私とさ――』

13/31
前へ
/335ページ
次へ
 しばらく迷って俺は妹にメールを送る事にする。  超心配なんだけど、一応兄としての威厳を損なわない為にも平常心でメールを打つ。 『今、彼氏と何処までいったの?』  いやいやいやいやいや!! キモッ! 俺キモッ!!  いくらなんでもそれはキモいぞ!! 威厳もへったくれもねぇ、ただの変態じゃねぇか!!  ふぅ……いかん、さっき芽衣のパンツと絶対領域をマジマジ と見てしまったから、妄想がどんどん膨らむわ。  会った事もないのに、何故か芽衣の彼氏の脳内イメージはイケメンでだな。  その……何だ、彼氏に心も体も満たされてて――  ぎょ、ギョエーーーーーーーーーーー!! 嫌だ! 想像したくない!!  俺だって経験した事ないのに……って、違う! そこは今大きな問題じゃねぇ!!  妹が、俺の妹が見ず知らずの男の前で淫らな姿を晒しているなど!! 晒しているなどーッッ!! 「…………だ、大丈夫っすか頭」 「へ!?」  そんな声が、部屋のドアの方から聞こえる。聞き覚えのある声だ。  俺は振り返ると、出て行った時と同じ恰好の芽衣が立っていた。 「め、め、芽衣ィイイイイイイイイイッッ!!」  俺は思わず、号泣してしまった。帰ってきた! 芽衣が帰ってきた!! 「き……気持ち悪……! 私の顔見ていきなり泣き出すとか…………」  引きつった表情でこちらを見ている芽衣。  いやぁ、いいんだいいんだ! 帰ってきてくれたならそれで!!  
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4090人が本棚に入れています
本棚に追加