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「さ、咲……!!」
背後から聞こえる妹の俺を呼ぶ声を無視し、俺は塀の上を渡ってそのまま裏の道へと出て、あとはただひたすら走った。
頭クラクラするけど、俺主人公だし死ぬわけないから、とりあえずそのまま学校へと向かった。
●
「り、リア子の野郎、遂にお前ん家まで突き止めやがったのか……」
「何でバレたんだろ……? 実は咲が気付いてない時に、後ろからつけられてた日があるのかもね」
放課後の教室。
俺はいつも通り稜と栄太と3人で集まって非リア充トークを繰り広げていた。
主に、今朝の事について。
「全く……! 苦しい戦いだったぜ……」
俺はそう呟き、頭の未だに痛む部分を手で摩る。
「……で……その頭の傷は、リア子から逃げる際に負ったってわけか……」
「いや……これは……妹にな」
「……は?」
俺の言葉に、稜が首を傾げる。
傾げたくなる気持ちはよくわかる! 俺だって傾げたい!
「何で妹さんに、そんな今すぐ何針か縫わないと治らなそうな傷を……」
「いや、俺にもさっぱり」
栄太の抱く疑問にも、俺は答えられない。
本気で訳解らんもの。
「ていうかよ……咲」
稜が何やら難しそうな顔をして言う。
何だよ。
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