第1話『あ、あのさ……わ、私とさ――』

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 まずはカーディガン、そしてカッターシャツのボタンに本当に手をかけ始める。  一つ、二つと外れていくボタン。  リア子のそれなりにある胸の谷間が、生々しすぎる。  何やかんやで俺、ガン見である。  ……だけどさ、ちょっと待てよ。  例え彼氏に言いつけて馬鹿にするつもりだとしてもさ、ここまでのリスクをわざわざ負うか? 普通。  見たら分かるんだけど、リア子の奴超恥ずかしがってんだよ。  自分から言い出したとは言え、恥ずかしくてたまらないんだと思う。  ていうか仮にそうなんだとしてもさ――女の子にそこまでさせようとしてる、俺ってどうなんだよ。  それを止めない俺ってどうなんだよ。  正直めっちゃ見たいけど!!   マジで見たくてたまらないし、ぶっちゃけ舐め回したいぐらい白くて透き通ったはd……!  ゴホン、いかんいかん。俺は変態じゃないんだ。うん。  と、ともかく! 内なる俺がそう思った内に、リア子を止める必要があった。 「も、もも、もう、いいです!! いいですから!! ご、ごめんなさい何か!!」 「え……?」  俺ははだけたリア子のカッターシャツを、元のように整えてやった。  後々考えれば、俺は無意識の内におにゃのこの体に触っていたことになるが――!  その時点では止めることに必死だった。 「な、何かよく分からないですけど、か、彼氏が居ないってのは信じますから! だから、もう、止めてくださいです、ホントに!」 「で、でも……」  でもって何なの!? リア子やっぱ見せたかった感じ!?  せっかく俺が止めてあげたのに!! 「つべこべ言わず、も、もう服着てください!! そ、それまでもう、あ、貴方の方は見ない!」  俺はアスファルトの地面に落ちているリア子のカーディガンも拾い、強引に押し付けた後、彼女に背を向けた。  くっ――すげぇ見たかった――ッ!!(泣)←本心  
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