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☆
気が付けば私は自分が異界に来たかもしれないことを忘れ、男の人が運ばれた診療所まで来ていました。
こんなにこの男の人が気になってしまうのは怪我のせいだけではない気がするのです。
すぐにお医者さんが駆けつけ、手当てを始めました。
「こりゃまた派手にやりおって…死んでも知らんけんな、左之助…」
よぼよぼ白髪の眼鏡をかけたお医者さんがそう言いました。
………ん?
「さ、左之助!?」
私がビックリしてつい声を出してしまうとお医者さんもビクッとしました。
「あ、いえ、すみません」
私がそう言って俯くと、その左之助と呼ばれた男の人が口を開きました。
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