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「お……俺から言わせるというのか。困ったな……」
「げっ……こ、答えてください!答えによってはっ、け、警察呼びますよ!」
「……な、なんだと。男が男を好きになるくらいで、犯罪者扱いか!?」
「ハッ……」
壱花と助手が思わず息をのむ。小沢は顔を真っ赤にし、意を決したように叫んだ。
「おれはなあっ二豪!!好きなんだ……愛しているんだ!日間野……日間野悠長をっ!!」
「…………え?」
探偵、壱花の声が重なる。信じられない言葉に耳を疑い、今度は探偵の顔が青くなりだした。
「ちょちょちょ、まっ、待ってくだ先生。先生は……適当助手、晴山のことを好きなのでは」
「……いやっ!誓って日間野だけだ!俺が愛しているのは!なあ晴山!」
「…………」
帽子を下げ、うつむく晴山。探偵はぎぎぎ、と人形のようにぎこちなく晴山を見、救いをもとめるかのような不自然な半笑いで見つめた。違うといってくれ、そんな切実な視線だった。
「実は…………。自分は先生に体を柔らかくするいいものがあると言われて倉庫に連れてこられました。そこで先生に告白されたんです。先生は探偵を愛している。どうしたら良いのか……と」
「自分は言いました。探偵は未だ思春期で健全なごく普通の男子……いきなり男に告白されても戸惑ってしまいます。混乱して下手すると拒絶されるだけに終わってしまう……だから、友達からはじめてみたらどうでしょう。と。」
「そ、そういうことだ。日間野。友達の第一歩といってはなんだが……」
小沢はごそごそとTシャツの中から花柄のノートを取り出して探偵に渡した。ノートの表紙にはヘタクソな黒ペンで「ぼくたちのメモリーデイズその1」とかかれていた。
「こ、交換ノートで互いの絆を深めるところからはじめたいと思うんだが……だめかなあ?」
「……そ、そっ、その2もあるんかいぃいい!!!」
微妙な探偵の叫びが体育館にこだましたのだった……。
伊井華幻高校は今日も平和である。
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