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次の案を練ろうと探偵が腕を組み、束の間沈黙していたその時。
ゴロゴロゴロ……ドドンッ!!
「うわはぁっ」
「キャァ!!?」
突如として学校のすぐ近くで派手な雷鳴が轟き、校舎が縦に揺れた。
壱花は思わず探偵の首にしがみつき、免疫のない探偵の顔がラッキースケベと言わんばかりに綻んだ。
「チックショ?雷の野郎!!こんなに丹豪君を恐がらせて……許さないぞぉ!」
「探偵、顔が見えなくとも笑ってるのまるわかりなんで、黙った方が懸命かと思われます」
「う、うるしゃいなおまんは!!わわわ笑ってなんかいないやいっ……てうわわ丹豪君!?」
さらに壱花のしがみつく手に力が入り、探偵の首に指先がめり込んだ。
「ぐふっ……どどうしたのさ!?ちょっと苦しいよ壱……」
「ひ、日間野さ……あれ……!」
壱花の怯えた声色に気づき、探偵はあたりを見回す。すると部屋の角に、黒い影が佇んでいるのが見えた。
「…………グッモーニン?」
探偵は何故か英語で挨拶した。相手は無反応だ。
「で………で……」
「出たァアアーーーーーーーーーーーッ!!!」
「なぜ今外国人の可能性を確かめようとしたんですか」
絶叫し抱き合う2人、助手の冷静なツッコミ。
「……」
そんなぼけたやりとりをする3人の方へ、人影がゆらりと動き出した。
「ひ……!」
「ち、近づいて……来る……!?」
影は蜃気楼のように、頼りなく左右にふれながら、ゆっくりと、しかし確実に距離を縮めてくる。
探偵と壱花は声無き悲鳴をあげながら、頬がくっつくほど固く抱き合った。
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