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しかし、三人の目の前まで来ると、黒い影はピタリと立ち止まった。
「………………………………………ニャン」
そして、疲れ果てた猫のような声を漏らし……そのまま床にふにゃっと倒れ込んだ。
「あ、クロヤマ」
「……あれ?こいつ……いつかの小魔術師じゃないか!!」
「ホントだ!いつの間に、てかどこから来たの!?」
そう、黒い影の正体は少し前、助手人格矯正騒動を起こしたあの小魔術師であった。
「も?紛らわしいよ!魔術師なら魔術師ってちゃんと言ってくれなきゃ!」
「すみませんニャ、お腹がすいて限界だったんですニャ」
「ほら、もっとお食べよ、クロヤマ」
「てか、君以前会ったときそんな語尾ついてなかったよね……今更、キャラづくりか?」
小魔術師こと黒猫ことクロヤマは、木の上で昼寝をむさぼっていたところ、急な雨と風で動けなくなり、しかし空腹に耐えかねて探偵たちのところへ助けを求めにきたというわけだった。
そんなクロヤマは今、助手がどこからか出してきた給食のミルクパンを美味しそうに食べていた。壱花もとくに不思議がることなくクロヤマの頭を撫で、牛乳を与えていた。
「……君達は動物好きの小学生か」
探偵はどことなくそれを嫉妬の目で見つめ、冷めたツッコミを入れた。
「……申しおくれましたニャ。私は魔術師のクロヤマと申しますニャ。実は以前登場したときはシリアスさを保つため、無理して『ニャ』を封印してたんですニャ。その節はご迷惑をおかけしましたニャ」
そう言ってクロヤマは三つ指をつき深々とお辞儀した。
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