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「もっともな事言わせてもらうけどさあ……」
一息置いて、探偵は声量を上げた。
「なんで君の時はインタビュアーが居るの?いつ出現したの!?ってか、誰なんだ!!」
「知りませんよ、そんなの(怒)」
「(怒)をつけるな、腹が立つ!!」
――その時だった。
窓枠に何か白いものが付着しているのを見つけたのだ。
助手はそれが何か理解した途端、畏怖と驚愕に目を見開いた。
「と……鳥……の、フン……」
「うるせー!!いちいちどうでもいい演技すんな!大体予想ついたし」
助手はすぐにいつもの表情に戻ると、桟に頬杖をついた。
「だって、何も起きないじゃないですか。少しぐらいミステリーな雰囲気味わいたいんですよ、自分だって」
窓の外は、いつの間にか雨が降り出していて、早くも鳥のフンが溶かされ始めていた。
助手の言葉を聞いた適当探偵は、フッ……とキザに笑った。
「馬鹿だな、君も」
「君もということは探偵も馬鹿という事ですか」
「ミステリーなんて見つけようと思えばどこにでも転がっているものさ。ほら、今だって……密室、2人の男、エロ本、PSP、雨の音、鳥のフン。――こうして並べると、謎を解くキーワードみたいで、ワクワクしてくるだろう?」
「全然……」
助手は食わえたシガレットを上下に動かしながら、呟いた。
「むしろ、キーワードの最初の方は非常にいかがわしく聞こえます」
「……むしろ、歩くエロスは君の方だろう……いや、歩くBL本か」
2人を嫌な湿気で包むように、雨は降り続いた……。
――伊井華幻高校は今日も平和である。
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