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「今、助けに行きますッ!」
鬼の形相で走り出す壱花に、順番を待っていた女生徒達が何事かと注目する。一恵はよくわからないがじき起こるであろう悲惨な事態に怯えて目を覆い、何者にも壱花の暴走は止められないかのように思えた。
しかしそんな彼女の前に、大の字になって立ちはだかったのは一人の大男。
適当探偵・日間野だった。
「日間野さん……!?」
さすがに壱花も驚き、ズサッと砂埃を上げて立ち止まる。
「二豪君、やめてけれ!!」
探偵は両手を力一杯広げたまま、僕はしにましぇん張りの声で叫んだ。
「日間野さんッ!どうしてですか?晴山君が危険なんですよ!どうして止めるんですかっ!?」
「ダメだ!今止めに入ったら、奴の……男のプライドに傷が付くっ!たかがストレッチと思うかもしれない……。けど奴は必死なんだっ。運動音痴のこの僕だから言うんだ。今適当助手の邪魔をする事は、何人たりとも許さない!!」
探偵のいつになく必死なその言葉に、壱花の脳髄を稲妻が駆け抜けた。
そうだ。自分ときたら小沢が晴山をどうこうしないかばかり心配し、晴山自身の気持ちなど考えていなかった。
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