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一方体育倉庫では、禁断の密会……ではなく、晴山とごつい体育教師が2人きりであった。
「先生、体が柔らかくなるとっておきの道具ってなんでしょうか?」
「……」
振り返って尋ねる晴山に返事をせず、本田は後ろ手に引き戸を閉め、鍵をかけた。
「せ、先生?なぜ鍵を……」
眉根を寄せる晴山。
「騙して悪かった、晴山。体が柔らかくなる方法などここにはない。……ここからは、オレとお前だけの個人授業だ」
「え、あの……。ちょっとい、意味がわからないのですが……」
「晴山、こっちにおいで。さあ、いい子だから」
「……」
晴山の背筋を冷たいものが走る。少しずつ後退する晴山に、本田はにじりよっていく。
「恐くない。何を勘違いしてる?さあ、さあ!」
「……っ」
晴山の顔がどんどんひきつっていく。こんなピンチは人生で二度あるかもわからないなと、頭の片隅で思っていた。
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