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「ぜえっぜえっははあっはああ!ひいっひいっふうっへほおお……」
「日間野さん急いでっ!あとちょっとだから!」
バタバタと校内の廊下を駆ける2人。
探偵は矢のように走る壱花の後ろから、首を斜め45度の角度で左右に振りながらだらしなくついていく。
「せいっ!」
体育館の扉を両手で力一杯開き、壱花はつかつかと体育倉庫に近づいていく。
「!鍵が掛かってるっ……!や、やっぱり……!」
重たい鉄製の引き戸は、鍵がかかっているためびくともしない。壱花は探偵に肯くと、すうっと大きく息を吸った。そして
「ホモやろぉおアケロヤアアア!!そのアホに変なことしたらお前を蝋人形にしてやろうかっ!!!?」
「疑問形なんだ……」
ぼそりと呟く探偵。
しかし次の瞬間、あっさりと鍵が外れて内側から扉が開かれた。
「あっ……観念しやがったなこの……!」
壱花が出てきた人物の胸ぐらを引っ張って引き寄せるが、なんと助手だった。
しかも人形のように生気を失い、やつれている。
「は、晴山君!こんないつにも増して死んだ魚の目みたいになって……!どうしたの?ま、まさかもう」
肩を揺さぶり壱花ははっとして探偵と顔を見合わせた。
「じょ、助手……まさか君、既にヤツに」
「探……偵」
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