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2日目になり、決定的なことが起きた。
この日は上司の指示により、荒川さんという60歳くらいの男性とペアで倉庫で作業をすることになった。
ダンボール箱や機械の部品などが積まれている倉庫に着くと荒川さんは言った。
「よく見とけよ」
僕は元気よく答えた。
「はいっ。お願いします」
彼はネジが入った箱を持ってきて、それを床にぶちまけた。
床に散らばったネジを見るとプラスのネジばかりである。
次に別の箱を持ってきて、それも同じようにぶちまけた。
今度はマイナスのネジばかりだった。
更に違う色のネジが入った箱を持ってきて、それもばらまいた。そのような行動がしばらく続き、床は色々な色と種類のネジで埋め尽くされた。
しかし、そのネジはもともと種類ごとに分類されていたため、種類別に固まっていて、それほど散らかったという印象はなかった。
「ここからだ」
そう言うと、荒川さんは足でネジをかき混ぜ始めた。
綺麗に分類されていたネジは徐々にごちゃ混ぜになっていった。
完全にネジが混ざったのを確認すると荒川さんは、
「よし、今からもとの箱に入れるぞ」
と言った。
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