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晴がここまでムキになっているのはちゃんと訳があった。
いつも束縛をするけど、今日みたいに怒鳴ったのは初めてだもん。
その理由はね、
「じゃぁ俺が海外に行っても、凛は誰とも話さないでいるのね?俺、凛のこと信じてるからね?」
「うん、大丈夫。おいらには晴だけだもん。」
晴が海外に行ってしまうから。
心が冷たい水色に染められた。
じわじわって涙が零れるように。大好きな晴が遠くに行ってしまう悲しみと、少しホッとしてる自分がいることの罪悪感で、ごちゃごちゃになって染み渡る。
「………り、ん…」
晴の手がおいらの服のボタンにかかる。だんだんと肌寒くなる体、いつの間にか上半身裸の状態だった。恥ずかしさなんていつの間にか消えていた。毎日のように、だもんこれは。
だけどこの快感は、慣れない。
いつもいつも、赤ちゃんみたいに喘いで恥ずかしいし力入んないし、晴に必死にしがみつくだけの、この行為。
いつの間にか下半身も裸になっていて、下にくる快感はもっと慣れない。腰の奥に来るむず痒い感覚、時々痛いけれどそれすらもう…気持ちがいいんだ。
「あっ、はっ……は、るっ…」
「凛っ、…愛してるっ…」
二人の吐息が混ざり合うこの中で、愛の言葉を吐きながらの、この行為。余裕なんてなくなる。
「……はっ、るぅっ!」
このときは、泣いてもいいの。
このときは、晴は泣いたら喜んでくれるから。そんなにいいの?って、言って、さ。
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