ワンコインの契約

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リコは時間ぎりぎりで婦人に言われたホテルへと辿り着いた。 息を切らしたリコは目の前に広がる高級ホテルを強気な顔で見上げた。 リコはホテルの入り口までやって来て深呼吸しようとする。 すると後ろから来た男に押されぶつかる。 「痛ぁっ!」 リコはそう言い男を見る。 「邪魔だチビ!」 そう言った男は背が高くて高そうなスーツを着ていてリコと同世代に見える。 男は中に入って行く。 ムッカーッ!! リコはイラッとする。 「謝れ!こら!」 リコはそう叫ぶ。 男は一度止まり振り返るがリコをしらーっとした目で見て何も言わずまた前へ歩いて行く。 「なんだ?あの男! 礼儀がなってない!」 そう一人で苛々していると背後から呼ばれる。 「娘…よく来たな。」 リコは聞き覚えのある、その声に振り返る。 「あっ…さっきの……」 「覚悟はできたと見ていいのか?」 「は、はい!! 私…まだ死にたくないし 人生諦めたくないから! この五百円に賭けます!」 リコがそう言い切り五百円玉を婦人に見せる。 すると婦人は笑う。 「よしよし。 わたくしは宇佐美ひばり。 よろしく。」 「あ…柚原リコと申します。」 「“ゆず”はら?か…。 ふふふ。これも何かの縁。 リコ…さぁ来なさい。」 「はい!」 リコはそう返事をし、ひばりの後を着いて歩き出した。 宇佐美ひばり63歳…。 この高級ホテルを経営している 敏腕女社長。 経営は高級ホテルだけで都内に三店舗。 他にレストラン…エステ会社なども都内各地に開業しているらしい。 この先に何があるのか解らないけど諦めて逃げるよりマシだよね。
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