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―私たちは未来を想像したことがあっただろうか?―
たぶん、あの事件が起こるまでは誰も想像しなかっただろう。
こんなにも、荒んだ未来を誰が想像したであろうか?
しかし、これは私たちの欲望の代償であることを忘れてはいけない。
そして、私たちはこの過酷な環境で生活していくことを余儀なくされた……。
―2008年4月―
朝。私、二宮早希はいつもと変わらず学校に向かっていた。今日から中学2年生。
少し春の暖かさを感じる風を頬に受けながら、私は桜凛中学校への道を歩いていた。
桜凛(おうりん)という、うちの学校の名前の由来は校門横にある大きな桜の木。その桜のように、凛とした生徒に育って欲しい。そんな由来がある。
その時、後ろから私の名前を呼ばれた。
「早希~~!おはよっ!」
そういって、私の前に現れたのは親友の高橋灯。 赤茶けた髪が特徴的。
「おはよー。」
「きょーから、中2だねー。」
「うん。」
彼女はいつものようにハイテンションだ。 2人で学校に向かう。川沿いの土手を他愛もない話で盛り上がっていた。
「ねっ、あれ大地じゃない?」
灯が突然前方の方を指差して言った。
「ほんとだ。」
私はそのまま、前方を1人で歩く男子に声をかけた。
「きょーも、1人? 相変わらず寂しい男だねー。」
「おめーにわ、関係ないだろ。」
そう私に言い放った男子。それは、クラスメートで幼なじみの二宮大地。
あっ、別に双子じゃないし、親戚でもないからね。 ただ、昔っから親ぐるみで仲がよかったんだ。ただ、中学入ってからは私の事を少し遠巻きに見ているのが気になる。
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