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一日に数本程の電車がやって来るだけだった駅は、今では見上げるほど大きな駅になり、地下にまで電車が走っている。
駅回りは高層ビルが立ち並び、デパート商戦が激しく行われ、多くの企業が進出している。
そんな高層ビルの一つの部屋で、一面壁のような窓から町を見下ろしている女がいた。
彼女の名前は金田結衣。
正確には、住宅街の方角を見ていた彼女は、左手の薬指と親指で耳たぶに触れると、険しい表情で唇を噛んだ。
問題を抱えている時に無意識に行ってしまう、幼い頃からの彼女のクセである。
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