第1部 その1

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金田結衣が見つめた先に、その保育所はあった。 公的な機関でなく、町の発展によって乱立した私立の保育所である。 金田結衣の悩みのタネである、彼女の息子、金田祐介は保育所の砂場で、一人の女の子と遊んでいた。 女の子の名前は黒田光。 大きな目をらんらんと輝かせ、祐介に砂で作ったおにぎりを渡していた。 祐介はそれを受け取ると、「おいしいよ」と、言いながら口元でボロボロと崩した。
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