きっとそれは運命だったのかも

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------ そもそもなぜ彼がこうなったのかは深く語ろう。 つい三時間前ほどには彼は森の中など歩いてなかった。それどころか森があるような場所に彼はいなかった。あるのはコンクリートで作られた建物群だけ。コンクリートジャングル。まさしくそう言える場所に彼は唯一無二の親友とその幼馴染と一緒にいたのだ。 「あ~っついな~………」 季節は夏太陽の熱をまともに吸収するコンクリート群によって彼らが住まう町は砂漠のような錯覚をうけるほどの暑さを誇っていた。 「そうか?暑いっていうから暑くなるだぞ勇人(ユウト)?」 そんな彼の隣を歩くは彼の親友一条和也(イチジョウカズヤ)。少しツンツンと跳ねた黒髪が特徴的で言い方は悪いが常に周りを女性で囲ませている。 彼と同んなじ制服を着て、学校指定の鞄を肩に掛けながら、隣でうなだれて歩く彼を尻目に見ながら涼しげに歩いてる。 「と言ってもよ~和也。暑いもんは暑いだろ~………」 「くすっ、そうだね。柴君の言うこともわからなくはないよ。むしろこれだけ暑くて汗の一粒も流さないかずちゃんがおかしいよ」 彼の言うことを苦笑しながら肯定するのは和也の隣を歩く和也の幼少からの幼馴染。 「そう言われてもな…暑くないものは暑くないんだよ明日葉(アスハ)」 仕方ないだろと明日葉に不満気にかえす和也。 霧沢明日葉(キリサワアスハ)。腰あたりまで伸びた茶色の髪に少し控えめな胸。 二人と同じ白いワイシャツに学校指定の紺のスカート。 よく和也と並んでは美男女カップルと呼ばれ困ってるらしい。 「俺的にお前の身体は一体どうなってるのか調べて見たくなってきたぞ和也……」 「あ、それ私も賛成。かずちゃんって本当に人間かわかんないときがあるからね~?」 和也の身体を怪し気ながら横目で睨む彼の言葉に明日葉も頷き、やれやれと言いた気な表情をしながら和也は二人より歩く速度を速める。 「っと待てよ和也!冗談だってのに」 慌ててそれを追う二人。いつも通りの光景に日常。そして 「手前が一条和也かぁ?」
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