きっとそれは運命だったのかも

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-------- 振り下ろされた鉄パイプを木刀で弾き、弾いた勢いを乗せながら持ちての部分でその相手の腹を突く。先ほど梅ちゃんと呼ばれていた不良と同じように鉄パイプを持った彼は弾かれる様に吹っ飛び、後ろから迫り武器を振り上げる不良に対し和也は踵を軸にクルリと回り、回転斬りの要領で木刀を振る。 「っがあ!?」 一人の不良の脇腹を捉えた木刀はそのまま噛み付くように密着し、野球でバットを振る様なフルスイングで隣で腕を振り上げている不良共々打ち飛ばす。 洗練された木刀捌き、和也が素人ではないことが傍目から見てもわかった。その動きに不良達はついてはいけず、次々と木刀の餌食となるしかなかった。 十数人いた数も残り数人まで和也に減らされた不良グループ。かなり動き回ったはずの和也が一滴も汗を流さないことに畏怖し、動けずいた。 一人を除いて。 「まだやる?」 汗も流さず木刀をブラリとその手に提げながら不良達に投げ掛ける和也。不良達は何も言わず、ただじっと彼を見る。まるで何かの機会を 伺う様なその体制に違和感を覚えた。 猛攻突進するしか脳のない彼等不良達が何を待つというのか (援軍か?いや違うじゃあいったい……?) 彼等が何を待っているのか、それを考える和也。援軍の可能性は確かにある、が彼等不良達はグループで固まっているために違うグループの不良達と仲がいいとは口が裂けても言わないたちである。 そして彼等は誰もがオツムが悪いので正直言って和也を倒す作戦を練っているとしても数攻めぐらいしか浮かばないであろう。 (……仕掛けるか?) ギュッと左手の中にある木刀を強く握り締める和也。 右足にグッと力を込め、コンクリートを蹴ろうと踏み込んだ刹那。忘れ去られた彼の声が聞こえた。 「ヒャハハハハ!!それ以上動いてみやがれクソガキ!手前の大事な友達の首が真っ赤に染まるぜ~?」 和也の後ろで見守っていた明日葉の首に梅ちゃんがバタフライナイフを突き付けていた。
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