きっとそれは運命だったのかも

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「ごめ~ん。捕まっちゃった」 まるでてへっとでも聞こえてきそうな感じに明日葉は首筋に突きつけられたナイフを気にすることなく頭を傾げる。 「ってめ!?舐めてんのか!ナイフだぞ!?刺せば痛いじゃすまねえんだぞ!!」 危機感を感じさせない明日葉の言葉と言動に梅ちゃんと呼ばれた不良は声を荒げる。しかし明日葉はそれに動じることもなく、ただ哀れなものを見る様に彼を見た。 そして和也も 「刺せばいいじゃん」 「っな、っダチじゃねえのかよ!?なんで助けようとしねぇ!!?」 「そうだよ友達だ。明日葉は僕にとって、友達以上の存在でもある」 「だったらなんで!?」 ふっと鼻で笑うように目尻を上げ、和也は二歩その場から下がった。左手に握った木刀を右手に持ち替えながら。 「君にはわからないだろう?でもすぐ理解できるよ。僕には……」 言葉は続かなかった。 「っは?」 グイッと誰かに肩を引かれる様に梅は後ろに引っ張られた。和也の言動に気をひかれていたいたために彼は気づかなかった。背後に忍び寄る影に。 「歯ぁ食いしばれ、ちとばっかいてぇぞ?」 後ろに引かれながら首だけでも動かし、梅の目に入ったのは 、特徴的な金髪。それだけでも殺せそうなほどに細められ、睨みを効かせた黒い瞳。 「手前!?何時の間に!!」 「最初から」 彼はずっと明日葉の隣にいた。和也が不良達と戦っている中でも彼女に飛び火が来ない様にするためにだ。そして一番最初に和也に吹っ飛ばされノックダウンしたはずの梅が和也に見つからないないように匍匐前進しながら来る様を見つけた彼は明日葉にそのことを告げると梅が気づかないように明日葉のそばで隠れていた。
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